.イチ / 十五歳。

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   僕が生まれる少し前から、『世界』は拗れて、変貌を遂げて行ったそうだ。勿論、僕の生まれる前なので僕は知らない。物心が付いたときには、もう現今の[形]になっていたから。  もともと、あんまり仲が良くなかったのだろう。歴史の授業で習っていたときそう思った。だから、何となく現状をすんなり認識してしまっていた。……納得は行かない。理解した、だけだった。 『世界』は今、戦争の真っ只中だった。この国は別にどこの国とも仲良くなければどこの国とも仲違いしていた訳でも無かったんだけど。規模の大きな戦争に加勢するしか無かった。技術力とか、そう言った分野で良くも悪くもこの国は先陣を切る程優秀だったからだ。  敗戦国だったこの国は、昔の戦争で負けているゆえに率先して舵取りすることは無いけれど。みんな科学者やら技術者やら連れて行かれて他国で開発とかしているから国土そのものが戦場になる因子は無く平和、だけれど。 「───」  僕の昼はたいてい一人、人気(ひとけ)の無い場所でひっそり行われ終わる。あるときは屋上、あるときは屋上に続く階段、あるときは……。群れるのは基本的に好きじゃないんだ。友達はいるけれど、わざわざいっしょに飯食おう、とはならない。所詮『似た者』で『類友』だから、断っても相手は気にしないし。声は掛けてくれるけれども。時たま諾々と従うことも在るけども。  そうして、僕のお昼は現在の形態を成した。今日は、体育館の裏手の出入り口前に一人だった。体育館自体はこの時間帯は人気が無かった。教室から遠いからだ。何をするにも準備や集合の号令が教室で行われる。各学年の教室からすぐ見下ろせるところには中庭が在って、運動とか食後にしたい連中はそこを利用するのも、一つの理由だろう。ここは校舎とを繋ぐ通路の脇を少し行って回ったところに在った。  日陰だが夏の時分は丁度良く、学校で何か撒いているのかもしくは吹き曝しで尚芳る火薬の匂いのせいか、虫もいない。端末をいじりミュージックプレイヤーを起動させつつ僕はパンをビニール袋から取り出し包装を破った。
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