.ヨン / 前哨。

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協力は、惜しまないだろう。 「手の内を読まれていたら、どうするの? 作戦が洩れていたら奇襲だって……」 「そう言うときのために二重三重補助プランは練るものだろう。最悪、本営に罠を仕掛けても良い。街の駐屯地が本営じゃないしね。……邑久。対抗式と言っても僕たちが直にやり合うんじゃないんだ。全部作戦行動を入力したコンピュータが自動でやるだけ。目標の設定はいつだって僕たちと初対面だ。目標だって慎重に動くさ。僕たちにおいて重要なのは如何に欺いて成功率を上げるか、だよ」  目標が癖を知り尽くしたクラスメート自身なら、また別の練り方をするさ。作戦は手堅く、着実に。だが予測外を狙って。そう。対抗式なんて言ってもAの拠点をBが潰すとかでは無い。AとBに戦況モデルCを出し同等の戦力、準備期間の設定を与えて、より多く点数を取れたほうが勝ちと言うものであくまで、競い合うのは化かし合いの度合いで無く点数だった。補助とか、作戦ミスやアクシデントが起きた際手動で手ずから補正はするけど、その外はオートだ。  ま、化かし合いになると勝敗を決めるのに時間が要るってことだろう。多く経験値を学ばせるには数をこなすのが最良だし、成績を付けると言うことを鑑みれば、一律のレベルの中でやらせるのが実力も明らかになるってことなのだろう。  僕たちはその後も作戦を組み立てた。そうして、この日僕たちは勝った。  僕の知る倉中はあれで情報戦のエキスパートだ。何が面白いのか終ぞ理解出来ないままだったけれど、情報が好きだと言った。中身では無く流れを掴むのが好きだ、変遷を眺めているのが好きだと豪語していた。他の成績は中の中もしくは下くらいだのに、バランスの悪いことこの上無いが、情報だけはその手の機器も強く良かった。  倉中がいるあのクラスが負ける訳が無い。どんな采配か、情報関係に強い人間が多いクラスでも在ったから。 「通りで香助が情報に焦点を絞るはずよね。情報特Aがいるクラスだったなんて」  授業が終わり表示された戦果順も見て、さてHRと言うところだった。邑久が話し掛けて来た。 「データちゃんと見なかったのか」 「見てたわよ。けど付随データまで見てなかった。普通科は普通科での戦績しか基本出ないじゃない」  駒に反映される普通科のデータはまず基本的な名前と戦績の数値、ランクが出る。個人の補足された成績データは個人名をタッチして出るのだ。
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