『禁断の恋』

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 数ヶ月後、私は良家の男性と見合い結婚をする事となった。  養子縁組である。  会社の事は夫に任せ、私は今までと変わらぬ生活を送っていた。  そして、数十年後―― 「お茶をお持ちしました」 「そう、ありがとう……」 「本日はカモミールにいたしました」  そう言って、いつものようにカップにお茶を注いでいく。 「冷めないうちにどうぞ」 「トーゴ……」 「はい?」  トーゴがベッドに横たわる私の顔を見下ろす。 「私を……抱きしめて」 「それは、命令ですか?」 「命令よ」 「かしこまりました」  トーゴが私の体を抱き起こし、優しく抱き締める。 「そして、これが……最後の命令」 「最後?」 「私と一緒に……」  そう言いながら、私はトーゴのエネルギー装置に触れる。 「あ……」 「一緒に、向こうに……きて、ちょうだい――」 「カシコマリ……マシタ。オジョ、サマ……」 ――おわり――
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