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あれから幾年も重ねているというのに、体が覚えている激痛は僕を苦しませる。
僕はいつまでこの悪夢に苦しめられなければならないのだろう?
すると、目の前が明るくなり、光に包まれた天使が背中を向けて立っている。
「助けて!」
僕はその天使に向かって叫んだ。
彼女は長い髪を揺らし振り向いた。
わずかに微笑みを浮かべたかと思うと、美しい姿が徐々に消えていく。
「おい、待ってくれよ! どこに行くんだよ!」
僕は薄くなっていく意識の中で叫び続けた。
やがて光は消え、暗闇に一人残される。
絶望が全身を襲い、僕のすべては停止し、ただ僕という物体だけがそこにあった。
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