プロローグ

3/4
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
あれから幾年も重ねているというのに、体が覚えている激痛は僕を苦しませる。 僕はいつまでこの悪夢に苦しめられなければならないのだろう? すると、目の前が明るくなり、光に包まれた天使が背中を向けて立っている。 「助けて!」 僕はその天使に向かって叫んだ。 彼女は長い髪を揺らし振り向いた。 わずかに微笑みを浮かべたかと思うと、美しい姿が徐々に消えていく。 「おい、待ってくれよ! どこに行くんだよ!」 僕は薄くなっていく意識の中で叫び続けた。 やがて光は消え、暗闇に一人残される。 絶望が全身を襲い、僕のすべては停止し、ただ僕という物体だけがそこにあった。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!