念願の高校生

14/26
前へ
/290ページ
次へ
「では、まずは魔力体の受け渡しから始めましょう。距離を空けて、安全に行ってくださいね」 福吉先生の言葉に頷いて、刀野さんに向く。 「で、何すんの?」 「今はっきりと頷いてなかったか?」 「先生の言葉を理解しただけだよ。内容まではわからないからな」 苦笑いを浮かべる刀野さん。 「魔力体っていうのは魔力によって形成された球体だ。それをキャッチボールのようにするんだ」 「ほほぅ」 「今朝校門近くでキミが遭遇したあれだよ。基本的に学校内なら魔力の使用は許可されているから、彼らは本当にただのキャッチボール感覚で遊んでいたんだろうがな」 「なるほど、あれか」 「では始めるか。魔力体をキャッチする際は手に魔力を籠めて行うんだ。体に不可をかけずにキャッチするには魔力体との比率によって変わるから、その辺りのコントロールの鍛練だな」 魔力ってのは、言うならば内的エネルギーであり、ある一つの物質でもある。それを塊にするとただのコンクリートよりも固くなる事もある。それはまぁ魔力の密度にもよる話だが、塊の形を維持するにはある程度"固めないといけない"。 多分この授業は純粋な魔力体を受け渡し出来る繊細な魔力の操作を学ぶ物だろう。魔力体は意図的に固めない限り些細な衝撃で破裂してしまうから、『魔力体との比率を見極め、破裂させないようにやんわりと魔力で受け止める』ってのが"これ"の目的なんだろう。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6912人が本棚に入れています
本棚に追加