念願の高校生

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「おい転校生、お前名前は?」 「……真代 扇」 「俺は田上 龍一(タガミリュウイチ)だ。さぁ、早速やろうぜ真代」 金髪野郎、田上は掌に魔力を集め、掌上に魔力の球体を生成してくれた。自分から作ってくれるとは優しいところもあるじゃないか。 「それじゃ、危なくないようにやろうか」 「ああ、ちゃーんと手加減してやるから安心しろよ?」 四組、六組の生徒が俺達二人に注目している。誰一人止めようとする人はいない。心配そうに表情を曇らせているのはちらほら見える。刀野さんも、福吉先生も。 確かに、今の俺の魔力量は"四組"と判断されるまでに限られている。こればかりはどうしようもない事実だ。 「ほれ、んじゃあ行くぜぇ」 田上が投げた魔力体は山なりに飛んできた。舐めてるのか、親切にしてくれているのか…その辺はわからない。 親切ならば別にいい。 けど、もし、舐めているのなら――。 「―――ッ!!?」 目を見開いた田上は両手を顔の前に翳し、高速で返ってきた魔力体を受け止めた。驚きの色を顔一面に染める田上を突き出した右手越しに見据えて言葉を放る。 「手加減とか、別にいらないぞ」 そう、もし、舐めているのなら。 舐める相手くらい、ちゃんと見定めた方がいいと思うぞ?
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