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田上も、刀野さんも、福吉先生も、他の生徒たちも呆然としている。ただ投げ返しただけで、それほど変わった事はしてないんだがな…。
「……ッ、そうかよ、手加減はいらないか…」
「ああ、いらないぞ?」
「…ならッ!」
田上の目の色があからさまに変わる。やる気になったようで、先の山なりとは違って真っ直ぐ一直線に魔力体を投げ放ってきた。
突き出していた右手を魔力体の軌道先に移動させ、キャッチしすぐさま投げ返す。田上も同じくそれを受け止め、さらに速度を上げて投げてきた。当然投げ返すが、返す度に田上の顔が歪んでくる。
投げ返されるのがそんなに嫌なのだろうか?しかし投げ返さなければキャッチボールは成立しないんだぞ。
つか…。
「おらァッ!!」
なんか…相手さん、俺にぶつけるつもりで投げてきてる気がするんだが、気のせいか?
(…まぁ、延々と続けるのもあれだし、キャッチを失敗させれば十分"仕返し"になるだろ)
飛んできた魔力体に右掌を添え、止める事なく、勢いをさらに付けるように体ごと回して投げ放つ。
「くッ…!?」
(…へぇ)
表情を歪めるが、それでも受け止めて投げ返してきた。さすがと言うべきなのかな、六組の田上くん。
…っと、まずいな。回転なんて付けて投げたから体勢が不安定だ。
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