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声の主は男。厳つい人相の、高校生とは思えないオッサン顔の男子が一人、すごい目付きで俺を睨んできていた。
「状況見てわかんねぇのか?さっさと退けよッ!!」
恫喝(どうかつ)のような勢いで吠える男子に、俺はあっけらかんとした調子でこう返す。
「金魚の糞は黙ってろ。お前こそ退けよ」
男のこめかみに青筋が浮き上がったとほぼ同時に、別の方から声が飛んできた。田上っちの声だ。
「すいませんっ!!こいつ昨日転校してきたばかりで全く理解出来てないんです!すぐに退きますから!行くぞ真代ッ…!」
「チッ、次舐めた態度取ったら殺すからなクソガキッ!!」
「人なんか殺した事ないくせに粋がるなよ、歳だって変わらねーだろが」
「やめろ真代何考えてんだ!!」
「なんだよ田上っち、ムカつかねぇのか?自分が凄いわけでもないのに威張られて」
「そ、そんな事…」
「魔力が一番多い六組が他のクラスの奴らを見下すのもよくないけど、あれはそれ以上にタチが悪いぞ。まぁこれに関しては田上っちはわかんないかもだけど」
「っ………」
田上っちの手を振り払い、怒りに体を震わせてるオッサン男子を素通りして赤髪の男に近付く。
「なぁあんた。勇者の仲間だったんだって?」
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