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「…………あぁ、そうだが」
認めたな、これで確定だ。
なら次に聞かなければならない事は、これだ。
「"じゃあ、勇者が魔王と戦ってる所とかも見たの?"」
真っ直ぐ、目を見つめて尋ねた。赤髪男も俺の目を真っ直ぐ見返してくる。
少し間を空けて、男は言った。
「"ああ、見た"」
「…………、そっか、ならいいんです。てっきり"勇者パーティーに選ばれたからってただ偉ぶってるだけの人"なのかと思ったんで」
ピクッと、赤髪男の眉が片方震えた。その後に、取り巻き連中が声を荒げて叫んだ。
「舐めた事言ってんじゃねぇぞクソガキ!!」とか、「誰に向かって口利いてんだ!!」とか。予想通りっちゃ予想通りだ。
「甲条(こうじょう)さん!そんな舐め腐ったガキぶっ飛ばしてやってくださいッ!!」
オッサン男子が後ろで吠えた。おいおい仮にも勇者パーティーだった人間だぞ?ただの一般人(魔王)に危害を加えるような事はしないだろ。
「……ん?」
右手の中指を親指に引っかけ、俺の顔の前まで持ってきた。所謂デコピンの形だ。
眉を寄せ、頭の中にクエスチョンを浮かべた―――直後。
頭にあったクエスチョンが、意識共々吹き飛んだ。
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