念願の高校生

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やあやあ皆さんこんにちは、俺が誰だかわかるかな? などと聞いてもきっと誰もわからない。誰も俺という人物を知らない。それは実に当たり前の事だ。 何故かって?周りの人間が見ている『俺』という存在は、突然生まれたんだから。今の『俺』が出来る過程を知らない奴には、『俺』がどんな奴なのかは微塵もわかりはしない。 今こうして存在する『俺』は仮の姿。……え?いやいや、別に中二病とかじゃないよ?ホントホント。これは『俺』なんだけど、本当の『俺』じゃないんだ。 実は俺、魔王だったんだよね。 今は違うよ?魔王やめたし、つーか世間では魔王は死んだ事になってるから、いきなり俺が魔王だよって名乗っても頭がおかしいと思われるだけだしね。 そう…俺は魔王をやめた。飽きたんだ。もう全世界を恐怖で震撼させる恐るべき支配者なんかじゃない。 ただの、男子高校生だっ! 俺はずっと憧れていたスクールライフを送るために魔王という皮を捨て、生まれ変わったんだ。 ヤッホイJK!ミニスカ万歳! 俺だって男だ。腐っても魔王だが男なんだ。恋の一つや二つや三つ四つしたいじゃないか。 いきなり俺の住む城に押し掛けてきて剣を振りかざしてきたあのバカ勇者には腹を立てているが、魔王をやめるいい機会になったし、水に流してやろう……かと思ったが、やっぱ無理だな。勇者許すまじだ。
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