念願の高校生

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(へぇ、なかなかレベルの高い【顕現魔装(けんげんまそう)】だな) 【顕現魔装】。自分の魔力を想像した武器や道具に具現化させる技術。より鮮明にイメージし、より繊細に象れるのにはセンスがいる。 今の日本刀は、寸分狂わず実物に似せて作られていた。それを見るだけで、この少女が実力を持っているのがわかる。 「間一髪だったな」 少女は俺に微笑みを浮かべたまま話しかけてきた。考察を終わらせ、ごく自然に言葉を返す。 「どうもありがとう。おかげで助かったよ」 「何、あんな物大した事じゃない。だが、まぁ…」 体ごと俺に向けた少女は、ニタリと不敵な笑みを浮かべて目を細め、 「別に割り込まなくてもなんとかなったみたいだがな」 「………」 「こちらこそ助かった。切ったのはいいが、まさか切った魔力体が生徒の方に飛んでいくとは思わなかった。あれなら叩き潰した方がよかったな」 …バレている。俺が女子生徒へ飛んでいった魔力体を潰した事が。極限まで魔力を抑えたつもりだが、やはり感付かれていたか。 「しかし、なかなかやるようだな。形成された魔力体を微量の魔力その物だけで潰すとは。かなり繊細なコントロールが出来ると見る」 「そうなのか?よくわからないけど」 「…キミは、もしかして転校生か?見たことない顔だから不審には思っていたんだが?」
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