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恵はそう言いながら、自分の首元を押さえる。
最近はあまり目立たなくなってきているが、やはり気になる。
…俺的には早く治って欲しい。
「私が産まれるまで…お母さんとお父さんは、凄く仲が良かったの。…周りが羨ましくなるぐらい。だけど、お母さんは…妊娠を望んでなかった。」
そう語る恵の顔は申し訳なさそうに、悲しそうだった。
…恵の顔が俺に移りそう。
「だって…私を産んだ時、お母さんはまだ18だったから。」
…18って。
恵と一つしか変わらないじゃないか。
だから、会った時あんなに若かかったのか。
少し、納得。
「お母さんだってやりたいこといっぱいあったのに。…私の世話で追われて。お父さんと上手くいかなくなって…物心ついたころから毎日喧嘩ばっかり。その時のお母さんの口癖が ‘‘あんたなんか産まれてこなきゃ良かった” だったの」
…あの人は普通に死ねって言ってた。
本当の娘に対して。
「その言葉と同時に蹴られたり…殴られるようになって。…お父さんに助けを求めたの。
だけど、決まって言う言葉が…ごめんだったの」
泣きたい時は泣いて良いんだよ。
無理しないで…。
恵はいっぱい闘ったよ。
「お父さんがいなる6年間ずっとそんな生活。…嫌とか、無理とか、そんなレベルじゃ無かった。それが当たり前みたいに思ってた」
その話を聞いて俺は、我慢できなくなり、恵を強く抱いていた。
…もう少し…あの時に気がついていたら恵は、楽になっていたのかな?
「で、今のお父さんを連れて来て…花菜が産まれて。妹ができて…嬉しかった」
初めて聞く妹への想い。
「…だけど…やっぱり…姉妹じゃないの。…お母さんにとって…私は…いらない子。…私だって…もっと愛されたかった。何も…恵まれてない」
恵の想いは俺の胸に響いた。
…恵だって子供だ。
親から愛されたかったはずだ。
花菜ちゃんが愛されているように。
…同じように。
いや…それ以上に。
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