森 悠介

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私と森君は使われていない教室に来ている。 「私のアザは昔…といっても、10ヶ月前に付けられました。…お母さんによって」 徹に全てを話したから森君に言っても、違和感がない。 「…似てるよ。俺の理由も」 今の森君の目は、憎しみ目だった。 初めて見る森君の姿に、若干戸惑ってしまう。 「俺の火傷は、10年前に父と母に付けられた」 …10年前。 …結構…前だね。 しかも、両親2人からって。 悲しかったよね。 「あの2人にとっちゃ、俺はいらない子。その後、児童養護施設に入れられたよ。俺と同じ様に捨てられた奴ばっかだった」 …森君が黒い。 こんな森君見たくない。 「今も、そこに世話になってるけど。…12月に大高さんのアザを見て思った。…一緒だって」 …私も森君の火傷を見て一緒って思った。 「そーいや俺、結構荒れてた時期あったの。中学の時ね」 今の森君からは想像出来ない。 …てか、したくない。 「親代わりの人に、迷惑かけたし…血が繋がってない弟、妹にも迷惑かけたし」 …辛かったよね。 私に言ってくれたみたいに…泣いて良いんだよ。 我慢しないで。 いっぱいいっぱい泣いて。 「そん時に、ある女の子に会って。その子に会って…変わった」 …女の子…。 「俺の事、もりりんって言う子。」 …優帆ちゃんだ。 そっか…中学が一緒って。 「親居ないからバカにされてて。だけどその子が、恥ずかしくないよって。私がついてるよって」 そんなことがあったんだ。 羨ましい。…森君が。 私は家でも…学校でも1人だったから。 「その頃から…その子の事が好きになってた。…あっ。これ内緒ね」 「うん。内緒」 …森君ごめんね。 最初の方、ウザいとか思ったりして。 だけどそれは、私が森君と同じ立場だったから。 ごめんなさい。 優しい森君を傷つけてしまった。 「あ、雨宮さんと仲良くね」 男の子にしては上手にウィンクを決める。 「…っっ。何で知ってるの?」 「内緒」 …最低。 そっちこそ優帆ちゃんと仲良くです。
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