初キス(徹side)

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『…徹…私ね…』 『どうした?…恵』 家の中にいる俺と恵。 会社にいたはずなのに。 『お父さんの所に行くから。…今まで…ありがとう』 『…ちょっ恵』 あり得ないし…急に何言ってんの? 去ろうとする恵を捕まえようとするけど…捕まえられない。 「…恵っっ」 バコッッ …痛てぇー。 周りを見ると、笑っている。 …あと、君島の飛んで来た拳が痛い。 「会議中に寝るな」 「…ごめん」 マジか…寝てたのか。…しかし。 あの夢、余りにもリアルすぎない? 本当に…恵がいなくなったら。 「で…。恵って誰?」 「………」 あ…そうだった。さっき、名前を叫んだっけ? 「一緒に住んでる子。前に言わなかったけ?」 「アザがある子?高校生でしょ」 「うん。あ、もう喋りかけないで」 はー。 夢で見て、昨日の事を思い出す。 ハプニングだったけど…。 当たったんだよな。 俺にとっては初めてだった。 どんな?みたいな感じだったけど…スゲー柔らかかったし。 これは…誰にも言えないけど。 もう一回したいって思った。 「なぁー雨宮、顔赤いぞ」 「もう一回したいなんて思って無いから」 あ…。 口を押さえた時には既に遅し。 君島がニヤニヤしてる。 あーもー…スゲー最悪だし。 「恵ちゃんど…これ?」 …投げキッスしてくんなよ。 こいつのせいで余計赤くなる。 「ダメだよー。預かってるだけだろ」 …そうだけどさぁ。 あれは…仕方ないっていうか。 「好きなんだろ。恵ちゃんの事が」 「…だからどうした?」 なんて、無愛想に答えると、頬をつままれた。 「素直じゃねーな。バカヤロー」 君島って何なの? あと、つまみすぎて痛い。 「気持ちがバレるの早そうだな」 「…そん時は、どうにかするつもり」 最初は、どうしても恵を守りたい一心で助けた。 感情が無くて困ったけど…。 一緒に過ごす内にかわいいとか…思ってしまったり。 どうしても、妹に見えなくて…。 気持ちに気づいたのは、最近で…。 「応援してるー。ファイト」 「…ウザい」
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