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2人とも声にならず、目を瞑る。
そして、私はバスタオルをしっかり巻きなおす。
…最悪…。
「見たけど、見てない」
…何、その日本語。おかしい。
「…夢?…現実?」
焦る気持ちはわかる。
でも今、見たって…。
私だって…認めたくないけど。
「現実です」
「あ…やっぱり」
キスの時といい…今日といい。ハプニングが多すぎる。
困ります。心臓が持ちません。
「あと…好きって言ったのも、現実です」
…?
何か…変なこと言ってない?
夢って言ったのに…現実って。
「私は、徹の事が好きです」
頭の中では止まれって思ってるのに…。口が全くいうことを聞いてくれない。
「助けてくれたあの日から…ずっと。いや…あの日より…今がずっと好き」
いつの間にこんな言葉覚えたんだろう。
スラスラ言ってる…。
恥ずかしい。
「今度は本当?」
私の顔を見ながら聞く徹。
今、見ないで欲しい。
真っ赤でダメ。
「嘘じゃない…。私、嘘付くの下手」
「そっか、そうだったね」
ポンポンと頭を撫でる。
…落ち着く。
「俺、24歳だよ。オッさんだよ」
…何それ。オッさんって。
私からしたら、お兄ちゃんだよ。
24歳はね。
「それでもいいの?」
私は歳なんか関係ないって思ってる。
「うん。…徹は徹」
「俺も、恵の事好きだよ。大好きだよ」
…好きって言われるのって、こんなに嬉しいの?
前は『死ね』とか『消えろ』とかばっかりだったから。
…嬉しい…。
「…ゆ…め?…げん…じつ?」
押さえても沢山出てくる涙は、徹が拭いてくれる。
「…現実だよ」
ギュって抱かれるのは、今までも何回かあった。
だけど…やっぱり大好き。
「本当の…本当?」
「本当の本当。俺は恵が好き」
…もう…泣き止まないから…それ以上は、ダメ。
「私も…徹が好き」
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