涙の理由(徹side)

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「夜分遅くにすみません。長野です」 「あ…雨宮です。…恵の携帯ですよね」 「はい。今は、私の家で寝ています」 「あ…そうですか」 ……どうして長野さんの家にいるんだ? まさか…家出? 「そういえば、雨宮さん」 「…はい」 「お誕生日おめでとうございます」 …ん?どうして長野さんが知ってるの? この間知り合ったばっかだよね。 「って、めぐちゃんは言うつもりだったみたいです」 めぐちゃんって恵の事か…。 てか、今日のソワソワした態度はそういうことだったのか…。 でも、だからって俺がバカにされる理由が分からない。 「白いマフラー、女の人からのプレゼントですよね」 …なんでも知ってる。 ……恐ろしい子。 「嬉しかったですか?」 「…普通に嬉しいよ」 そう答えると、電話越しで長野さんが長いため息をついた。 「めぐちゃんがバカって言いたくなるの、わかります」 …ちょっと待って。 俺が嬉しいって言ってバカにされるのおかしくないですか? 「めぐちゃんから何か投げつけられましたか?」 「あ。…箱を投げつけられました」 …これ、地味に痛かったんだよね。 「開けてください」 …俺は長野さんに言われた通りにする。 紺…黒に近い箱を開ける。 「何が入っていましたか」 「…あの…黒いマフラーが」 「めぐちゃんからの誕生日プレゼントです」 ……。 俺は言葉を失った。 そして、首に巻いていたマフラーを外す。 これが…これが恵の怒りの原因だ。 …でも…どうして? 「嬉しいですか?」 「…勿論。嬉しいよ、恵からのプレゼント」 「めぐちゃんは、雨宮さんが一緒に寝てくれた時…凄く嬉しかったみたいですよ」 …そんなことを…。 逆に俺が嬉しいんだけど。 「私が勝手に思ってるだけかもしれないので…聞き流して貰って結構ですが。…言います」 「はい」 「めぐちゃん…雨宮さんのこと、男の人としてちゃんと好きですよ」 …え? 長野さん、今なんて? 恵が…俺のこと…好き? …なんか…急に焦ってきた。 「雨宮さんはどうなんですか?」 …どうって言われても。
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