選択肢は二つ

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お父さんの家族は、楽しそう。 居るだけでホカホカする。 でも…鈴さんは苦手かも。 さっきから雑誌ばかり見てるから、沈黙が流れる。 私、喋るの苦手だから…喋ってくれる方が楽なのに。 「恵だっけ」 やっと喋ってくれた鈴さん。 だけど目線はやっぱり雑誌。 「は…い。なんで…しょうか」 「知らない奴といて、嫌じゃないの?」 …知らないのは確かにそうだけど。 ここはあったかいし。いて、楽しいから…。 「全然思いません」 「ふーん」 …ここで会話が途切れる。 なんか…話題ないかな…。 「オレ、父さんと血が繋がってないんだ」 「…え?」 鈴さんからのカミングアウト。 それって…義父と言うことですよね。 「オレが10歳まで、父さんがいなかった」 …鈴さんが10歳ということは、私は8歳だ。 その頃からお父さんが居なくて…お母さんと2人だけになって。 「本物の父親は母さんにオレがいるって知って…逃げたらしい」 …そんなの…1番してはいけないのに…。 果音さんだけが苦労するのは…おかしいと思う。 「オレはさぁ、今の生活が気に入ってる。杏子がいて、父さんも母さんも優しいし…」 …もし、2人が離婚して無かったら、私達3人は仲良く暮らしていただろうか…。 でも、そんなことになったら…この家が出来てなかった訳だし。 今は徹にお世話になってて…幸せだし。 「恵さえ良ければ…一緒に住もう」 「…え…」
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