選択肢は二つ

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ようやく向いた鈴さんは優しかった。 今の生活が幸せなら、私なんか…誘わない。 一緒に住めるなら…住みたいけど。 でも、今の私には…大切な人がいるから…。 「最近、幸せなんです。だから、気持ちだけでも受け取っても良いですか?」 鈴さんは、驚いているようだったけど…私の頭を軽く撫で、笑ってくれた。 それにつられて、自然に笑う。 だって、家族だからって言われた気がしたから。 「恵…」 「はい…」 私の目の前にはお父さんがいた。 「もし、彩子に色々言われたら連絡しなさい」 …心配してくれてたんだ。 ありがとう…そして、ごめんなさい。 私が産まれたことで、2人の中を壊してしまって。 「ありがとう。…また、来てもいい?」 「いいさ」 お父さんを見ると、目から自然と涙が流れた。 …この家族で幸せになってね。 私も応援してるから。 「今日ぐらい泊っていけばいいのに」 果音さんの気遣いは嬉しんだけど…。 私の帰る場所には、大切な人が待っているんです。 果音さんの優しさを断り、私は家を出て徹の家に向かった。 今なら…優帆ちゃんが言っていた事がわかる気がする。 だって私…。 今すごく…徹に会いたい。 これって…好きってこと? そして、今。 ……伝えたいって思った。
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