はじまり,はじまり

4/9
104人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「私にも分かりません。」 「はぁ??」  なんなの?お前神様だろーに・・・。 神様の”分かりません”発言に、今度は俺が呆れてしまった。 「今までにこんな事、あったことないですから。いくら私が神と言えど、貴方がどうやってここにやって来たのか分からないんです。 だから、直接貴方にわけを聞こうと思ったのですが・・・その様子だと、貴方自身も分かっていないようですね。」  そう言い区切ると、神様は一息つき、困ったように笑った。 神様でもわからんことはあるもんなんだな。 「だからとりあえず、貴方は死んで輪廻に帰る時に何らかの影響で、ここ、”生死の狭間”に落ちてきた。ということにしておきます。」  ここ、生死の狭間だったんだ。 てか、しておきますって。それでいいのかよ神様。 「分からないままだと天使達や、他の者に混乱が生じますから。 まぁこの話は、原因が分からない以上、ここで終わりです。」  混乱ねぇ。神様も大変だな。 「それよりも気になるんですが、いいですか?」  急に神様がグイっと近づいた。 「え、何?」  若干、後ろに引きながら聞き返すと、なんだかわくわくオーラを出してきた。 なんか怖いんですけど・・・。 「なんで、死んでしまったのにそんなに落ち着いてるんです?? 他の人間は泣き叫んだり、怒ったり、パニックになったりするのに。」  なんだ。そんな質問か。 「簡単なことじゃねーの。 そいつらには未練があって、俺にはない。ただそれだけだろ。」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!