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それからあとのとある日。
「お疲れ様でした。よく今まで耐えましたね。」
俺は神様からねぎらいの言葉をもらっていた。
「ああ、自分でもそう思うよ・・・。」
神様のおかけで、この狭間にいる間は老けないようになった俺は、いくらか身体がたくましくなった気がする。まぁ、無理もない。あんなに地獄のような修行をして変わらないほうがおかしいだろう。
それほどまでにすさまじいものだった。
修行という名の地獄巡りは。
「あ、もう一回していきます?修行。」
「ぜっっっっっっっっっっったいお断りだ。」
あんなのもう一回とか俺の精神が持たねぇよ。
つかもう思い出したくもないわ。
「まぁ、余興もこれくらいにして、行きますか。新たな世界へ。」
神様は笑う。
ああ、ホント終わったんだ。そして始まるんだ。
そう思うと、なんか俺まで笑えてきた。
「それでは、今のここ、狭間から、新たな世界へ繋ぎます。」
「ああ。」
わくわくする。でも少し名残惜しい気もする。もう、この狭間ともお別れなのだ。
それが少し笑える。
「あと、実はですね、楼くんが修行してるうちに新しい世界で戦争が起こってしまったんです。良ければ止めてあげてくれませんか。」
「え、そうなの?うーん、まあいいや。
止めればもう俺は自由に過ごしていいんだろ?」
「もちろんです。」
「だったらするわ。でも俺なんかに止められんの?」
「何言ってるんです。今までの修行は何だったと思ってるんです。」
・・・そうだった。あんな地獄を越えられるような出来事、もうない。
そう思うと俺はすごく安心した。
「貴方の実力は私を継ぐ勢いで成長してきました。私も驚いてるんですよ。
ほんとに、今までがんばりましたね。」
こんな褒められるなんて思わなかった。
なんか照れるわ。
へへっと俺は照れ笑いをした。
「そういえば、楼くん。」
ふと思い出したように話し出す神様。
気のせいだろうか。いつもより神様が笑ってる気がする。
なぜか冷や汗が出て、止まらない。
「貴方、生前の死ぬ間際、私の悪口を言ってましたよね。」
「いや・・・あ・・・あれは・・・ほっほら・・・ね?」
人ひとりが通れるほどの穴が、俺の下でパカリと開く。
神様はすごくいい笑顔だった。
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