第20話 秘宝展

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「そうですか。わたしたちは、この秋葉野球部を夏の甲子園に行かせたいと思って頑張っていますね。応援部も同じ気持ちだと思いますから、ぜひ、一緒にやりましょう」 「それから、俺たちブラバンにも来てもらってるんだ。紹介するよ。おーい、谷町!」  通路の階段口にいる眼鏡を掛けた長身の男子生徒が手を振りながら笑顔でやって来た。 「こちらがイザベラさんで、チアガールの責任者兼野球部マネージャー。そして、こちらが、ブラスバンド部の谷町修二」  卓の紹介で、イザベラと修二は握手した。 「僕はブラスバンド部の部長で三年の谷町修二です。うちの部は応援部と一緒に野球部の応援をぜひやらせてもらいたいと思ってるんだ。いいかな?」 「それはありがとうございます。わたしたちこそ、みなさんを差し置いて、野球部のこれからの活躍はないと思っていましたから、ぜひ一緒にやりましょう」  イザベラの言葉に頷くと、修二は階段口に戻って行った。そして、しばらくすると、トランペットやクラリネット、ホルンなどを携えてブラスバンド部員たちが続々と観客席に現れた。晶子たちチアガールは歓声をあげて、応援部とブラスバンド部を迎い入れた。  観客席とは裏腹に、一塁側ベンチは盛下がっていた。部員たちは予期せぬ決勝進出で戸惑っていたし、対戦相手が大会前には雲の上の存在と思っていた強豪校だったからだ。 「おい、みんな。明日は死力を尽くしてプレーしよう」  前日、決勝進出を決めた試合後のミーティングでのキャプテン川添信吾の檄だった。そのミーティングはすぐに対朝田高の「戦略会議」に移行した。監督クンを使って、データー分析を行っていた有村秀太がその結果を報告した。 「結論から言いますと、かなりの苦戦を強いられそうです。朝田高のエースの秋山英司投手は左腕の本格派で140キロ台の速球と切れの良いカーブが彼の武器です。それに、打線も強力です。四番で右打者の冴島孝明はこの大会で平均打率五割を打っていて、この冴島を中心とするクリーンアップで一試合平均三点を叩きだしています」
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