第1章

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 廊下はくすんだ白色で、蛍光灯を反射させて光っている。右側に並ぶ下駄箱を一瞥してから階段に到達した。  階段は掃除が行き届いておらず、隅にゴミが溜まっている。  三階に出てすぐ左に家庭科室がある。ちょうど廊下の突き当たりで、正面には二つの木製ドアが並ぶ。どちらも家庭科教員控室という名称がついていて、左が控室一、右が控室二だ。控室一のドアへの侵入を阻むように黄色のテープが貼られ、警察官が一人で立ち番をしている。  その警察官が俺の顔を一瞥して、そしてまた視線を宙に戻した。  第一控え室のドアに鋭角になる位置に、事件現場となった調理実習室の扉がある。こちらは金属製で少々重量がある。両扉で中に押し開くタイプなのだが、今は閉められており中の様子を窺い知ることができない。
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