第1章

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 踵を返して自習室とは反対方向に歩いた。二年生の教室が並んでいる。自分の事情聴取が行われる教室以外にも人影があった。他クラスの事情聴取が行われているのだろう。  目的の教室のドアを軽くノックすると、中から低い声が聞こえてきた。入れと言っている。 「失礼します」  別に面接させてもらうわけでもないのに、口からはへりくだった言葉が出る。緊張しているんだなと苦笑したあと、俺は引き戸を開けた。  教室の真ん中に、三者面談をするときと同じように机が向き合うように用意されていた。違うのは机が二セットのみというところだ。必要のない机はすべて部屋の端に寄せられている。
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