第1章

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「あれ」  机で俺を待ち構えていた男に見覚えがあった。だが名前やどこで会ったかは思い出せない。  その背格好からして刑事だというのは一目瞭然だ。広い肩幅に筋肉質な体型、髪は少しだけクセがあるのをうまくセットアップしている。黒のスーツに赤を基調としたネクタイを締めた男は、自分と年齢差が一回りもないと思われる。頬を緩めてこちらをみているその顔は端正であるといえる。 「座って」  彼以外にも何人かの刑事らしき大人の男たちがいた。それらは皆、机の前にいる男とは対照的に野暮ったい印象を受けた。
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