パイプ椅子探偵

第１章

　いつもの時刻に登校すると、いつもとは違った点があった。教員用駐車場にパトカーが停まっているのだ。パトカーの周りには生徒が集まっている。写真を撮っている者もいた。

　近くに警察官らしき人物の姿はない。何かあったのだろうと思ったけれど、朝のホームルームの開始時刻が迫っている。パトカーの前を素通りした。

　朝霞台高校の校舎は、上空から見ると音符記号のシャープの横棒だけが突き出た形をしている。本来は眩しいほど白色だったであろう校舎の外壁はみすぼらしく汚れている。

　俺のクラスは一階の南側、全八クラス中の一番端にある。一年生の時は教室が最上階である四階にあったため、毎朝階段を駆け上がるハメに陥っていた。

　廊下には生徒が溢れている。警察車両の話をしている者も多いが、ほとんどは他愛のない会話に興じている。