第2章

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 取調室を出ると、俺は二人の警官に引っ立てられて階段を下りた。連れてこられたのは地下の留置場だった。鉄格子の扉の前に警官が一人立っている。  その警官が扉を開けた。  扉の奥には三つの牢屋が並んでいた。しかしどれも人の気配がしなかった。扉の前に立っていた警官が進み出て、一番手前の牢屋の鍵を外した。  入れとぶっきらぼうに言われ中に入ると、すぐに閉められた。これではまるで子犬が小さなケージに入れられているようだった。  警官たちが立ち去り、あの大きな格子扉も閉められた。わざとたてているのではないかと思えるほどの大きな音が鳴った。その音は、留置場内に反響した。  扉を閉めた警官と一瞬目があった。しかし警官はすぐに視線を逸らすとむこうを向いた。
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