第2章

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 牢屋の中は畳が敷かれていた。固いコンクリートを想像していた俺は胸をなでおろす。だがその畳は薄汚れており、シミや変色が目立つ。ささくれ立っている部分もある。  部屋の中央に畳んで置かれている一組の布団もまた、同じようなものだった。おまけに敷布団も掛布団も妙に平べったい。これで暖がとれるのかと不安になる。連行される前に着替えてきてよかった。ジーパンにセーターを着込み、上下どちらも下着に保温効果のあるものを着てきた。  部屋の隅に小さな机がある以外には、衝立で仕切られただけの洋式便所があるだけだ。  全身が怠く感じる。疲れているのだろう。二時間か三時間は取調べを受けていた気がする。実際に何時間経っているのかは判然としない。  たぶん明日も朝から取調べがあるのだろう。休める時に休まないと体がもたない。  布団を敷いてその上に横になった。かびの臭いに顔をしかめる。  横になると、俺はすぐに寝入っていた。
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