第2章

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「松田翔一郎君、面会だ」 「面会ですか」  留置係がそう言いながら牢屋の扉を開けた。時計は九時半を示している。 「これを履きなさい。それからこれ」  床に綺麗に揃えて置かれたスリッパを示すと、右手に持っている手錠を鳴らした。手錠に結ばれた青い紐は彼のズボンにつながっているらしい。 「両手を前に出して揃えて、親指を中に入れて握りなさい」  いわれるようにすると、留置係は慎重な手つきでそれを嵌めた。俺の想像では勢いよく嵌めて手首を痛めるイメージがあったのだが、それとは大違いだった。  格子扉の前に立つ警官の先導で、俺は留置場を出た。  面会室は一階にあった。先導役の警官がドアを開けた。
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