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「座りなよ」
「あ、ああ」
椅子に座ると、親父は目を細めて微かに口角をあげた。まるで何十年と会っていない旧友と再会した時のような表情だ。
「とりあえず、元気そうだな」
語尾を上げたので、質問の意味で言ったのだと解釈した。捕まってしまった愚かな息子に何と声を掛ければいいのかわからないのだろう。先程の表情一つとってもそうだ。お互いに、現状に困惑しているのだ。
「う、うん」
そういうと、俺は親父と目を合わせるのが嫌になって俯いてしまった。昨日、今日と俺は俯いてばかりだ。
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