第1章

6/30
前へ
/271ページ
次へ
 担任は死因には触れずに続ける。 「今日は授業はなしだ。一、二年生にはすぐに下校してもらうことになっている。君たちには警察の方の事情聴取を受けてもらうことになっている」 「先生、僕達は何を話せばいいんですか」  クラスメイトの一人が聞いた。 「昨日いつ白木先生の姿を見たかを答えればいいそうだ」 「なんでそんなことを聞く必要があるんですか。白木先生はなんで死んだんですか」  生徒の核心をつく質問に先生はたじろいだ。どう答えるか迷っているように見える。 「白木先生は、……腹を刃物で刺されていたそうだ」  教室はまたしても静まり返った。どう返せばいいのかわからなかった。  どこからか悲鳴が聞こえた。
/271ページ

最初のコメントを投稿しよう!

185人が本棚に入れています
本棚に追加