第1章

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 午前中の対面は暗にこの手続きを取らせるためのもので双方この真意を理解の上。これはマフィアや政治家相手に使う手で裏社会ではよくある手法だ。世の中白と黒で裁断するのは二流の人間のすることなのだ。  ウイルスが確認されたのでSAAへの捜査権発動が可能となったからだ。SAAは大統領直轄で報告義務は大統領しかなく緊急時は四軍及び各連邦機関を指揮下に置くことも出来る。これで米国捜査組織からの情報漏えいの心配は減った。そう考えると確かにグルーレスCIA長官はどこでこの件を知ったのか。  二人は口を閉じ考えた。少なからず米軍も絡んだ一件だが政府筋は無関係だった。その状況が変わりつつあるのだろうか? 「JO~♪」  その時、廊下の向こうからノートパソコンを器用に頭に乗せJOLJUが駆けてきた。 「何だ?」 「変化見つけたJO」  そういうとJOLJUはノートパソコンの画面を見せた。そこには紫ノ上島で行われている殺戮ゲームをオンライン賭けゲーム『サバイバル・ビレッジ』の画面が開かれていた。 「ここ!」  JOLJUはメニュー欄の一番下を指差した。そこには『殺戮の部屋』とある。 「一時間前までなかった。ついさっきできたばっかだJO」 「そこでは何をやる?」 「賭けだJO」 「このゲーム自体賭けゲームじゃないか」 「それだけじゃなくて……このゲームはちょっと違うんだJO」 そういうとJOLJUはクリックしページを開く。そこは廃墟となった長方形の部屋で、ゾンビが5人、ぐったりと座り込んでいる。そしてメニューバーの中に、各ゾンビの番号、オッズなどが出ていた。  ユージとアレックスは、それだけでこの新しいゲームの仕組みを理解した。 「つまり、狂人鬼たちを共食いさせてそれを賭けにする……そういうことか」  大きなゲームは、後はファイナル・ゲームしか残っていない。このゲームはそれまでのつなぎゲームなのだろう。そして特別会員はリアルに狂人鬼同士の殺し合いが見られる、というものになっている。 「狂人鬼同士は殺しあうのか?」 「空腹限界が来れば襲うかもだJO。でも……これみるかぎり心配ないJO」  そういうとJOLJUは画面を拡大して見せた。比較的オッズが高い三人のゾンビをクローズアップする。そしてパスワードを打ち込み会員用ページに切り替えた。そこに映されたのは大森と<こんぴら>の三人だった。
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