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だけどそりゃ四輪の話だ。
(あほか)
と相手にせず、コーヒーの缶をゴミ箱に放り込み、YZF-R6にまたがり、セルスターターを回せば。マシンは目覚めの雄叫びをあげる。けっこう爆音で、山々にこだまする。
サソリのマークのある社外製マフラーがびりびりしびれて、爆音を吐き出す、四人に叩き付ける。
あたりの空気までもが爆音にしびれているようで、それが肌で感じられて、程よく撫でられて、心地よい。
お目当てを買って車に戻った四人を無視し、駐車場を出て、本道に入る。何を思ったか、アコードワゴンもついてくる。
「……」
それをバックミラーで見て、左腕を上げて、中指をおっ立ててやった。
「なんだあいつ、走り屋のくせに!」
途端にアコードワゴンがパッシングをかまし、YZF-R6のテールにぴったりとくっついた。後ろから、おかまを掘らんかと言わんがばかりだ。
「いいぞいいぞやれやれー」
「轢き殺しちゃえ~」
車内で馬鹿騒ぎが始まる。
だがしかし。
「……、しゃ!」
タケシの叫びがヘルメットの中で響いたかと思うと、YZF-R6はフロントを高々と持ち上げて、ウィリーをかます。
いきり立った暴れ馬のようにフロントが高々と上がったYZF-R6。
ウィリーかまして着地して。
スロットルオープン!
マフラーからアコードワゴンにぶつけんがばかりに激しい爆音が響く。
空(くう)が揺れたかと思うほどの、激しい爆音。耳のみならず、腹に図太い一発を食らい、心臓までをも貫きそうなそのサウンド。
やれるもんならやってみやがれ!
というメッセージもふんだんに込めて。
「ひっ!」
慌てたアコードワゴンのドライバーは咄嗟にブレーキを踏む。他三人も、突然のことに体勢を崩し、呆然としている。
「な、なにやってんだよ、たかが走り屋相手に」
「そ、そんなこといったってよお……」
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