第1章

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どうやら、彼はあまり気にしている様子ではないみたいだ。 「でも、困りましたね…。」 彼は俺の顔を見て苦笑する。金谷さんが公園で言ってた『満室』の言葉を思い出した。 「実は、部屋を貸してあげたいのですが、あいにくの満室で…。」 歯切れの悪そうに彼が話すと、今まで黙っていた金谷さんが突然「ねぇ?」と、声を発した。 「……?」 「……どうしました?」 彼も俺も金谷さんの方を見たが 、金谷さんは何かを考える様子で、しばらく無言が続く。 「ナツさん?」 「ねぇ?……葵君、家に来るかい?」 金谷さんは、俺と彼の驚きで固まった顔を見て微笑する。 「……はい?」 「へ?」
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