第1章

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 【マジックアワー】と言う言葉を聞いたことがあるだろうか?作品のタイトルではない、正しい意味を知っているだろうか?  俺が初めて心から好きになった彼女は、その時に出会ったんだと後で知った。 「葵君、本当に大丈夫かい?」  病院の先生は、困った顔を俺に向けていた。それもそうだろう。俺の住んでいた家が火事で跡形もなく無くなってしまったのだから。両親は幸い、海外で暮らしている為無事だった。しかし、高校生の俺が今日・明日の寝床を確保するのは、すぐには難しかった。両親に連絡をするなら明日の朝しかチャンスは無い。宇宙や天体に関係した化学者(科学者)が集まっている研究所の研究員である二人には、仕事が休みの日で必ず現地の夜でなければ連絡がつかないのだ。 「今日は、知り合いの家に泊めてもらえないか頼んでみますよ。」 「…そうかい?無理はしてはいけないからね?」  先生は、そう言いながら白衣のポケットから手帳を取り出した。手帳のメモ書きが出来るページに、何か書いているようだった。 「もし、宿泊先が決まらなかったらここに連絡して?」 「ASAOKA?」 渡されたメモには何処かの連絡先が書かれていた。
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