第1章

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 金谷さんの後を追って、玄関を通る。その先は、海外にワープでもしたような気分になる光景が広がっていた。エントランスは貴族の家ですか? 「管理人の所まで案内するよ。こっちだ。」 金谷さんはエントランスの中央から2階へ架かる階段に片足を掛けて、俺に手招きをする。 「はい。ありがとうございます。」 「お礼を言うのは、早いと思うけどねー。」 「え?」 「…何でもなぁーい。」 金谷さんは2階へ登りきると、左右に分かれる廊下の右手側へ進む。 「葵君は北高生?」 「へ?……あぁ、はい。」 「じゃー、朝岡琉生君知ってるかな?」 「えー?朝岡琉生?何部?何組?てか、学年は?」 俺が記憶を手繰って、頭の中で【朝岡琉生】を検索する。俺が腕を組みながら思考していると、金谷さんはくすくす笑っていた。 「学年は2年だよ。」 「えー?同じ学年?何部?」 「部活には入ってないよー。」 「帰宅部?何組?」 「葵君、分からないかい?」 「んー?」
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