第1章

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部活に入っている人の名前はよく聞くが、帰宅部となると分からない。俺の検索ワードで【朝岡琉生】はひっかかりそうになかった。 「すみません。分からないです。」 「えー。たしかC組だったかな?生徒会に入ってるらしいけど、知らないかい?」 「生徒会?岡ちゃん?」 【生徒会】と言うキーワードはかなり範囲が狭く、ようやく【朝岡琉生】こと【書記の岡ちゃん】を検索できた。 「そう呼ばれているのか?」 「あ、はい。書記の人ですよね?」 「そうそう。」 「【書記の岡ちゃん】をもじって、【おかあちゃん】って呼ばれてますよ?」 「あはははは!!【おかあちゃん】!?それ、マジで!?」 「はい。」 金谷さんは、ツボのレベルが低いらしい。よく笑う。廊下の突き当たり、豪華な扉の前。金谷さんの笑いが治まるのを再び待つ。 「あー。…腹よじれる。」 「笑い過ぎです。」 「…ごめん。…ごめん。」 まだ完全には治まらない笑いを、必死に堪えて、扉の横に備え付けられた呼び鈴ボタンを押した。
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