第1章

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 彼は広いリビングに俺と金谷さんを案内すると、すぐにキッチンへと向かう。 「で? 何でナツさんと天海君が一緒に居たんですか?」 「んー?それは、葵君に説明してもらった方が分かりやすいと思うなー。」 金谷さんは慣れた様子で一人掛けのソファーに座った。 「それもそうですね。ナツさんが説明すると、いつもぶっ飛び過ぎててよく分からないですから。」 「…おい。」 彼はアイスコーヒーをグラスに入れて、こちらへ戻ってきた。 「で?何でナツさんと一緒に居たんですか?天海君。」 「あー。話すと長いけど、いい?」 「大丈夫ですよ。」  俺は彼に、今日あった全ての事を話しだした。火事で住んでいた家が全焼。その時、ちょうど本屋に出かけていた為自分は無傷で済んだこと。その後、病院に野暮用があって、倉内先生に【ASAOKA】を紹介してもらったこと。此処にくる前悩んでいた所、金谷さんに声をかけられたこと。 「そうだったんですね。何て言うか、災難でしたね。」 「うん…。」 「兄さんが紹介していたとは…。」
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