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その話を聞いたときには、そんなばかな、と一蹴したのだが、まさか現実にこの目で見ることになるとは思わなかった。
彼は植え込みの間を抜けて庭に入った。暗がりで灰皿スタンドを倒してしまったが、気にしていられない。マンションの入口にはAEDが設置されていた。それを使うことになるかもしれなかった。
うつぶせに倒れているのは、よく見ると、四階の住人だった。
「伊藤さん!」
伊藤博文こと宇宙人ルケルケ・7・トーだった。
山崎烝は首筋に手をやり脈を取った。四階から落ちたとなれば、ただではすまないはずである。
表情が険しくなった。脈がないのである。
が、そのとき、ルケルケ・7・トーはむくりと起き上がった。
「!!」
仰天したのは山崎である。どう考えても起き上がれるはずがないのだから。あやうくこちらの息が止まってしまうほど驚いた。
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