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「やや、これは、山崎さん!」
しかも流暢にしゃべるのである。意識がはっきりしてる証拠である。
「伊藤さん……病院へ行きましょ」
山崎はすかさず言った。いくら平気に見えても、高いところから落ちたのである。体のどこかに損傷ある可能性は高い。
「病院?」
ルケルケ・7・トーはすっくと立ち上がった。
「心配は無用です。ほら、こんなに元気」
言いながら、明らかにへんな方向に折れ曲がっていた膝を手で元に戻す。
「しかし……。あとで具合悪なるっていうのんが、ようあるんです。ぼくがクルマで病院へ連れて行きますから」
いちいち救急車を呼ぶのがまどろっこしくて、そう言った。
「いや、その……だいじょうぶですって」
病院で検査なんかされたら、地球人でないことがバレてしまう。それは避けたいルケルケ・7・トーだった。検査を拒否しなければならない状況だったが、うまい言い逃れが思いつけない。
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