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大きな物音でパニックになり最早こちらの存在すら気がつかず滅茶苦茶に走り回る一般市民を横切り、先程侵入時に気絶させた兵士を飛び越え、更に走る。
次の目的地は馬の訓練所だ。
男は大きな城の前にある武器かなにか入っていたのであろう空っぽの大きな麻袋を拾い上げると慣れた手つきで爆音の中でもぐっすりと眠っているラウナをそこに入れた。
騒がしい城を背にし、まだここから少しだけ離れた馬の訓練所に向かう。
訓練所の中には馬が何頭もいて、男が近づくとその音を聞いて何頭かの馬が立ち上がった。
男は一番優秀そうな馬を選び、その馬の縄をほどく。そして馬をなだめながら馬のからだの様々な場所に赤く光る玉を作りだしその玉を貼り付け、
腹や足、とくに背中やたてがみにはより多くの玉を付けていく。
あらかた付け終わると次は別の馬達に今度はたてがみに先程よりも少ない数の玉を張り付けていった。
十頭程の馬にその行為を繰り返すと馬を繋いでる手綱の全てを解いていった。
解く途中に一頭だけ黒馬を見つけた男はしめしめと笑みを浮かべ、その馬を全ての馬の先頭に連れていき黒馬に股がった。
どうやらそこそこの訓練はされているがしかしまだ実戦に使用するには心もとないようだ。
跨がられてそわそわしている黒馬を手綱を使い操作し、訓練所の外へ向かう。
他の馬も同様、しっかり自分にに着いてきていた。
男は門の前まで来て門番を軽く片付けるとこの国に入って少しの時の事、門番が何らかの仕掛けを使い門を開閉しているのを見ていたからだ。
「これは…鍵穴か?」
ちょうど男の胸元辺りの位置に鍵穴らしき穴が空いた部分がある。
男は気絶している門番の懐を探り、白色の鍵を見つけ出した。
「魔力石を加工した鍵か…なるほど。」
魔力の籠った石、通称魔力石で作られた鍵を男はすぐに出窓の横にある鍵穴に差し込み適当にガチャガチャと動かすと門がゆっくりと開いていく。
馬の身長を門が超えた辺りで男は鍵を指したまま麻袋に入ったラウナを担ぎ上げ黒馬に飛び乗り、そして連れてきていた馬を全て一斉に走らせた。
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