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ラウナ「ここはどこなの!あなたは誰!?パパはどこにいるの!」
ゼノ「黙って食え。」
怒りで我を忘れたかのようにゼノに向かって質問を浴びせるラウナ。
だがしかしそのすべてをたった」一言で返され更に顔を赤くし早歩きで椅子に座っているゼノの側へ近づいた。
ラウナ「質問に答えっ」
言いかけたところでラウナの腹からグルグルと音がなった。
ゼノ「今日はこれからかなり歩くぞ、さっさと食って力を付けておけ。」
ラウナはうーっとうなり声にも似た声を出すとお世辞にも座り心地の良いとは言えない椅子に座りなんの装飾もされていない木のスプーンでスープをチビりと飲んだ。
瞬く間にしかめっ面になると横においてあるパンに手を伸ばし、小さくちぎって口に放り込み何度か噛むと顔を青くしてなんとか飲み込むがそのまま食事の手を止めてしまった。
ゼノ「水だ」
ゼノはラウナが何を考えているのか分かっているようで、口直しのためにと水を差し出す。
ラウナ「うっ」
しかしその水を飲んでも小さく嗚咽を漏らし、ゼノを睨み付けた。
ラウナ「不味い!!」
ゼノ「だろうな」
ゼノはラウナがそう叫ぶのを知っていたかのように呟いた。
だがそんなことでラウナの怒りが収まるはずもなく、ラウナは更に言葉を続ける。
ラウナ「だろうなじゃないわよ!何この不味いパン!!なんで私がこんなごみを食べなきゃならないの!?」
ゼノ「…」
ゼノはラウナの叫びに答えることはなく、ただその鋭い目付きでラウナを見ながらパンを口の中に放り込んでいた。
ラウナ「私を誰だと思っているの!?私はっ」
言いかけたところでゼノはラウナの言葉を遮った。
ゼノ「ガムルズ・ラウナ、ガムル国の王女だろう。」
ラウナ「そうよ!あなたなんかすぐパパに言いつけてやるんだから!」
ゼノ「いいから食え。不味かろうがなんだろうがそれが庶民の味だ。
その後全て説明してやる。」
その言葉を聞いたラウナは更に怒りを大きくして顔を赤くし机を叩きつける。
ラウナ「いらないわよ!!こんなもの食べたらお腹がいたくなるでしょう!!あなたが誰かは知らないけどこんな所に連れてきてなんなのよ!!」
頭をかきむしりながらラウナは怒りに震え、席を立ち上がると、帰る!と叫び部屋を飛び出してしまった。
数秒ほどじっとしていたゼノは残ったスープを一気に飲み、壁に立て掛けていた短剣を腰のベルトに固定するとラウナの後を追うように部屋を出た。
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