序章

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空の青色は既に消えかかっていて、黒く染まった煙が燃えるような夕日を更に炎の色に近づけていた。 大地には赤色の水溜まりと鋼の塊が土の上に被さり地面を隠している しかしそれでも未だに響き続ける怒声や悲鳴、様々な叫び声の中央にある国の門は既に破られ、一番大きな建物、国の要である城の周りからは大きな火柱があちこちから沸きだしている。 城の中からバルコニーへと、そのバルコニーから天へと向けて吊るされた老人の首、そしてその首を誇らしげに掲げる青年は大きな声で、今でもなお戦い続ける戦士達に聞こえるほどの大声で、国王が死んだことを告げた。 その声を聞き、片方の兵士は天に剣を掲げ勝利を喜び、片方の兵士達は自らの主を失ったことへの絶望から崩れ落ちるもの、もしくはその事実を信じられずに兵士に向かい剣を振りかざし、そして首を跳ねられた。
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