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ラウナ「ん…?」
待たしても知らない部屋で目を覚ます。
だが次は全く知らないわけではなく、ただ一度だけ見たことがある場所。
ラウナ「ここ、まさか。」
ゼノ「寝心地はどうだ?」
ラウナ「!?」
突然の声にビクリと身体を震わせ、その声の主を見つめる。
予想通り、ゼノだった。
ラウナ「さっきの化け物は…?」
ラウナは恐る恐る問いかける。
ゼノ「ん」
ゼノはラウナの尻の下を指差す。
そこには先程のシーツではなく黒い毛皮が敷かれていた。
ラウナ「これ…うわ!!ひどい臭い!!」
ラウナはその黒い毛皮を一撫でするとそこから漂う獣臭に顔を歪めベッドから立ち上がり素早く毛皮から離れた。
ゼノ「それは仕方ないだろう、ただ剥いで血を乾かすくらいしかしていないしな。」
ラウナ「こんなものの上で寝かせるなんてアナタどういうつもりよ!!」
ゼノ「寝心地は?」
ラウナ「良い分けないでしょ!」
ゼノ「やはり武具に使った方が良いかもしれないか。」
やはりかといった表情で毛皮を持ち上げるとへやの隅に置かれた木箱の中へ放り投げ、ラウナを見つめた。
ゼノ「腹減ったろ。」
ラウナ「うるさい!!」
ラウナが大声でゼノに歯向かうがそれと同時にラウナの腹からは空腹のサインでもある音がキュウと鳴った。
ラウナは顔を赤くしたまま悔しそうに俯く。
それを見たゼノは台所の方へ歩き、皿に乗せたままのパンをラウナに放り投げ、ラウナはそれを危なげなく受けとると先程食べたパンの味を思い出したのか眉をしかめてパンを見つめた。
ゼノ「悪いが今はそれしかない。我慢して食え。」
ラウナ「…」
ラウナは渋々といった表情でパンを一口サイズにちぎり、口にいれた。
ひどい目にあったからか逃げ出すということは無いようで、少し警戒していたゼノは一息吐き、一口食べる度に嫌な顔をするラウナを横に短剣の手入れをし始めた。
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