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城の中に入ると避難民達が不安そうに眠るなか、立ち入り禁止の区域の側までやって来た。
先程は王の間に呼ばれていたものの今は呼ばれているわけではないため入ることは出来ないだろう。
男は警備兵が立っている前を横切り、そのまま庭の方へ移動した。
月は雲に隠れていて庭もほとんど真っ暗な状態だ。
男は壁に手をつき凹凸を確かめる。
そしてそのまま壁を登り始めた。
目的の場所は二階の窓、少し登ればすぐに到着できる高さだった。
楽々と二階までたどり着き窓を開ける。
運が良かったのか、はたまた兵士が足りていないのか、見張りの兵士はおらず豪華な装飾品が並ぶ無人の廊下になっている。
男は窓に鍵がかかっていないことに気が付きニヤリと笑った。本当ならば風の魔力を少し使い音を消すつもりだったのだ。
中に入り、近くの部屋の扉を音がならないようにそっと少しだけ開けて部屋のなかを確認した。
客室だろうか?その部屋には誰もいない、しかし覗いた僅かな視界でも手入れが行き届いてることがわかる。
だがしかし男の知っている部屋ではなかった。
男は前々から城に忍び込み城の地図をあらかた把握しているつもりだった。しかしこの部屋は知らない部屋だ、つまりこの辺りに姫の部屋は無いということになる。
男は気配を探りながら自らの気配は消し、廊下を歩き出す。
激戦の影響からか見張りは少なく、シンとしていてどこか不気味でもある。
ただ何となく進んでいると見覚えのある場所までたどり着いた。
以前忍び込んだときに見つけた目印の一つの絵画を
前にして男は辺りを見渡す。
間違いなく以前来たことがある場所だ。
記憶が正しければすぐそこに姫の部屋があるはずだ。
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