ベクトル

15/21

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
…………それが今までの話。」 話し終わった後、長い沈黙がふたりをつつむ。 少しして俺から口を開く Γやっぱり、軽蔑するだろ?俺のこと。俺が気持ち悪いってんなら、もう近づかないから。悪かったな、この話は忘れてくれ。」 そう自嘲気味に言い席を立とうとして、机についた手を翔に掴まれ、顔を向けたらブチ切れた顔でこっちを見ていた。 Γちょっとこっち来い!!」 手を捕まれたまま引いて歩かされる。 Γちょっ、おい!どこ行くんだよ、なぁ。」 Γ黙ってついて来い。」 そう言われるともう何も言えなくなり、着いて行くしかなくなる。 数十分歩いたところで不意に手を離された。下を向いてたから分からなかったが、翔の家に着いていたようだ。 Γ俺の部屋入ってろ。」 そう言われ2階の奥の翔の部屋に入る。 久しぶりにこの部屋に来たなとか、挨拶をしてなかったけど、おばさんの声が聞こえなかったから今はいないのかなとか、今の翔に追いつめられてる状況を忘れてそんなことを考えていた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加