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Γ飯できたぞ。」
お腹が鳴って昨日晩飯を食べてないことを思い出した。この際だ、もう泣いたことはなかったことにしよう、そうしよう。自分に納得できたところで、もぞもぞと布団から這い出て自分の体を見て絶句した。
Γはぁぁぁああああ。」
本日2度目の絶叫が響き渡った。
俺下はいてない。いや、パンツははいてる。けど、ズボンはいてない。
Γお前俺のズボンどこやったんだよ。」
Γ皺んなるからそこのハンガーにかけてんだよ。人の好意を何だと思ってんだ。」
Γえ、ありがとう。」
一瞬もしかしてと、あり得ない妄想がよぎったが、ただの好意だったようだ。そんなほいほいホモが居てたまるか。
ズボンをはいてリビングヘ行くと、美味しそうなご飯の香りが漂ってくる。ご飯と味噌汁と焼き魚みたいだ。
席に座ると、翔は待っていてくれたみたいで一緒にご飯を食べる。
Γ今日学校どうすんだ?」
心配そうな顔で聞かれた。ほんとにこいつには助けられてばかりだ。
Γ普通に行くつもり。」
Γなら俺のYシャツかすわ。あと、一回お前んち寄るか。」
Γいや、俺ひとりで行くって。」
Γこれから二度寝するわけにもいかねーし、早く行ったって何もねーんだからよ。」
そう言って押し切られてしまった。だけど一緒に行ってくれて感謝してる、だいぶましにはなったけど颯斗とふたりで登校する勇気は俺にはまだない。
Γありがとう。」
小さくつぶやいてお礼を言う。
Γ何か言った?」
Γ何でもねーよ。それより早く行こうぜ。」
いつかはちゃんと言うから。今はまだ恥ずかしいからこのままで……。
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