第1章

2/8
前へ
/8ページ
次へ
「以上、だよ」 龍はすべてを俺に話し終えると目を伏せる。俺は何を言っていいのかわからなかった。どんなことを言えばいいのか、なんて声をかければいいのか、まったくわからずただ黙っていた。 「その後は修行に明け暮れてね。しばらくしたら僕の体に異変が起きたんだ 唐突に龍はまた話し出した。 「覚醒しているはずの能力が暴走し始めて闘技場の物を半分以上消し炭にしちゃってさ。それでそのまま倒れて。高熱で1週間くらい意識なくてね。で、目覚めたらなぜか第二能力者になってたってわけ」 不思議だよね、と言って笑う龍はすでにいつもの龍に戻っていた。 「で、もっと不思議なのが僕は‘言霊‘を使えるようになっていたこと。思い当たること、あるでしょ?」 戦いのとき何度か自分の体が思うように動かなくなったことがあった。龍の言葉通りにしか動かなくなることが。 「じゃ、じゃあ!!」 「‘言霊‘はなるべく使わないようにしてる。多分大丈夫だよ」 そう言って龍は立ち上がる。 「僕もさ、小さいころから化け物だったんだよ。今も変わらず化け物だ」 その言葉にはっとして龍を見るがすでにそこに龍はいなかった。龍は俺の悩みをわかっているかのように言った。 でも、‘今も化け物‘と言ったのは・・・ もしかすると龍はいまだに悩み続けているのかもしれない。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加