序章

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「それじゃまた明日なー」 「おう、日向も帰り道で事故んじゃねぇぞー」 本日の学校生活の締めを括る帰りのホームルームが終わり、適当に談話していた友人に別れを告げたところで、鞄を手にしたボクは一人教室を後にする。 いつもであればこの後アルバイトが待っていたりするのだけど、今日は平日にしては珍しくシフトが入っていない。 そんなわけで久々にゆっくり出来る放課後を満喫するため、仲の良い友人との会話もそこそこに切り上げて一足早く一人で帰宅しているのである。 ……いや、別に一緒に帰るような友人がいないわけじゃないからね。 ボクの友人達は熱心に部活動に励んでいるだけだからさ、念のため。 「……うへぇ、なんかちょっと曇ってきたし……」 誰に言うべきでもない言い訳をしながら玄関から外へと出てみれば、つい先ほどまで晴れ渡っていたはずの青空が綺麗に消えてしまっていた。 せっかくの自由時間だというのに何処となく出鼻を挫かれた気分だよ。 まぁ、幸いにも雨は降りそうにないからボクとしては別にいいんだけども。
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