序章

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学校を出てからは本屋やゲームセンターなどを適当にぶらつき、一通り巡ったところで自宅へと足を向ける。 バイトのシフトが連日入っていたりした関係で久しぶりに本屋なんかへ行ったけれど、思いの外目新しいものが増えていないとは……ちょっとばかり残念だ。 とは言え、気になっていたにも関わらずいつも売り切れとなっていた漫画の新刊が買えたのはラッキーだったかな。 結構長い間手に入らなかったからなぁ……家に帰ったらさっそく読んでみるとしよう。 そんなことを考えながら土手沿いの道路を歩いていると、不意に遠くの方から僅かに雷鳴が聞こえてきた。 「……なんか怪しくなってきたな……」 朝自宅を出る際に聞いた天気予報では雨なんて降らないと言っていたはずなんだけどな。 この感じではどうやら天気予報が見事に外れてしまったらしい。 今いるこの場所から自宅までの距離はそう遠くはないが、帰るまでに雨が降らないとは言い切れないのも確か。 せっかく手に入れた戦利品をむざむざ雨で濡らしてしまうというのも面倒なため、ここは多少疲れるのを覚悟して自宅まで走るべきだな、うん。 土手沿いの道路を歩きながらそう結論付けたボクは、手に持っていた漫画の新刊を鞄へと押し込み、数キロ先にある自宅目指して走り始める。 ―――だが走り始めてから数秒もしないうちにボクの視界は真っ白に染まり、その直後に何かしら思考するような間もなくボクの意識はブラックアウトした。
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