第1章

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だがしかし、現実というのはなかなかに非常なものである。 ボクが幾ら最後まで逃げ続けようと決意したところで、その決意を嘲笑うかのようにして呆気なく終わりをもたらすのだから。 「……へ……?」 眼前に迫る巨木を周り込んでその先にあった茂みを抜けた直後、これまで多くの木々によって塞がれていた視界が一気に開ける。 同時に足を踏み出した先にあるはずの地面が消失し、死に物狂いで走っていた事でそれなりの勢いがついていたボクの体は、なんの抵抗をする間もなくそのまま『空中』へと投げ出された。 「う、うわぁぁあぁぁ!?!?」 自分が崖から落ちてしまったという事実を頭の中で理解した瞬間、ボクは死が間近に迫ってくる恐怖から喉が破れてしまうのではないかと思うほどの叫び声をあげる。 とは言えどれだけ叫んだところで自身が置かれている現状がマシになるなんて事はなく、ボクの叫び声に驚いた鳥らしき生き物が遥か頭上の木の枝から飛び立っただけに終わってしまった。 結局落下を続けたボクの体はそれから数秒もしないうちに眼下へ広がる広大な川の中へと落下してしまう。 そして高所から水面に落下した衝撃でボクはあっさりと意識を手放してしまい、それによってボクの体はあっという間に水流の中へ呑み込まれていった。
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